ケガをしたり病気になったりして身体能力が低下すると、住み慣れた自宅でもちょっとした段差につまづいて転びそうになることがあります。
車椅子を利用している方や、介護認定を受けた方が自宅で安心に暮らすためには、転倒の危険性がある場所をリフォームした方がいいでしょう。
介護保険には、介護が必要な方のためのリフォームを行ったとき、費用の9割相当額が支給される制度があります。
支給限度基準額は20万円で、そのうちの9割である18万円まで介護保険で支給され、残りの1割である2万円が自己負担となります(※所得に応じて支給額の割合は異なります)。
ところが、住宅改修費の支給制度があることを知らなかったり、リフォームする内容が支給制度の対象ではないと誤解していたりして、支給申請のための手続きを行わなかったという人がいます。
では、介護保険の住宅改修費が支給されるリフォームには、どのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、介護保険による住宅改修費の対象となるリフォームについてお伝えいたします。
介護保険の住宅改修の対象となるリフォーム
介護保険の支給対象となる住宅改修はリフォームの内容が定められています。
では、どのようなリフォームが介護保険の支給対象となっているのでしょうか?
厚生労働大臣が定める「居住介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種別」は次のようになっています。
① 手すりの取りつけ
廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路に転倒防止や移動するときに役立つように設置するもの。
② 段差の解消
居室、廊下、トイレ、浴室、玄関など各居室間の床の段差。玄関から道路までの通路の段差および傾斜を改修する工事。具体的には敷居を低くする、スロープの設置、浴室の床のかさ上げなど。
③ 滑りの防止、移動しやすさを考えた床材料への変更
畳敷から板製床材やビニル系床材への変更。浴室は床材の滑りにくいものへの変更。通路面は滑りにくい舗装材への変更など。
④ 引き戸などの扉への取り替え
開き戸を引き戸、折り戸、アコーディオンカーテンなどに取り替える工事。そのほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置なども含まれます。
⑤ 洋式便器などへの取り替え
和式便器を洋式便器に取り替える工事。既存の便器の位置や向きを変更する工事。
⑥ ①~⑤の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
上記のリフォームに付帯して必要となる住宅改修工事で、具体的には次のようなものが該当します。
①手すりの取り付け→壁の下地補強
②浴室の段差解消→給排水設備工事
③床材の変更→下地の補強や根太の補強など
④扉の取り替え→壁または柱の改修工事
⑤便器の取り替え→給排水工事
参考:
介護保険の支給が受けられるリフォームは、要支援・要介護認定を受けている方が、ご自宅で生活するにあたり必要とするもの、というのが前提です。
①~⑥に該当する内容のリフォームであっても、必要であると認められなければ支給対象とはなりません。
介護を受ける方が暮らしやすく、介護をされる方の介護の負担を軽減するのが介護のためのリフォームであり、介護保険の支給対象のリフォームとなります。
必要条件や詳細に関しては、お住まいの市町村や担当のケアマネージャーに聞いてみましょう。
介護のためのリフォームを行ったときは、申請を行わなければリフォームをしても介護保険から住宅改修費は支給されません。
申請書と必要書類を市町村に提出することで、リフォーム費用の9割相当額が償還(しょうかん)払いで支給されます。
償還(しょうかん)払いというのは、費用を全額自己負担で支払い、その後、申請することで費用の9割の払い戻しを受けることを言います。
住宅改修費の支給を受けるためには、リフォームをする必要があるということを明記した理由書、工事費の見積書、リフォーム前の状況がわかる写真もしくは間取り図、リフォーム後の状態を確認できる書類などの提出が必要です。
ナックプランニングでは、住宅改修費支給の申請に必要な提出書類を準備するお手伝いもさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。