将来を見越して、バリアフリーリフォームを考えてみよう


バリアフリー住宅とは、体に障害がある人も高齢者も暮らしやすいように障害物を取り除いた家という意味がありますが「バリアフリー」と聞くと、多くの方が段差をなくすことをイメージされます。


一昔前の住宅は、玄関フロアと室内の上がり口まで高さがあったり、部屋と廊下の間に敷居があったり、階段以外にも室内に段差がありました。


近年は段差を最小限に抑えた造りの住宅が多くなっていることもあり、バリアフリーのためにリフォームをする必要がないと考えている方がいます。


けれど、体の機能が低下して車椅子を利用するようになった場合、室内で移動しやすくするためには、段差のほかにも解消しなければいけないことがあります。


今回は住宅のバリアフリーを考えるとき、玄関や居室の段差以外にチェックして欲しい点についてお伝えさせていただきます。



 

1.車椅子を利用するときは、室内のドアに注意して


車椅子は介護者が背後から押す「介助式」タイプと利用車が手で動かす「自走式」タイプがあります。


自走式の車椅子を利用するときは、壁に腕がぶつからないように車椅子の巾にプラス20~30cmほどの余裕があったほうが楽に動けます。


「我が家の廊下は広いから大丈夫」


そうおっしゃる方もいますが、余裕をもって移動できる広さの廊下だとしても、建具の巾が狭いと廊下から室内に出入りするとき車椅子が壁やドアにぶつかってしまいます。


また、部屋の扉がドアだと、車椅子を押しながらドアの開閉もしなければいけません。


ドアを開けるときはドアを引きながら後ろに下がり、ドアを閉めるときは車椅子の向きを変えてドアを閉める。そして、進行方向に進むためには、もう一度、車椅子の向きを変える……。


一日のうち何度か行くトイレの扉がドアだと、この動作を何度も繰り返すことになるので大変です。


車椅子を利用するときは、ドアから引き戸へのリフォームや、建具の巾を広げるリフォームを行うといいでしょう。




 

2.浴槽の底と洗い場の高さの差に注意して


お風呂は水や石鹸などを使う場所なので、転倒する危険が高い場所です。


また、脱衣所から浴室との段差があると、つまずいて転んでしまう可能性もあります。


ただし、最近は脱衣所と浴室の高さをそろえて段差をなくしたお風呂が主流となっています。


バリアフリーを考えて、浴室の床の段差をなくしたという方が多いです。


ただし、お風呂にある段差は、床の高さだけではありません。


見落としがちなのが、浴槽の底と洗い場との高さの差です。


浴槽の縁と浴室の床との差が少なくても、浴槽の底面が深くなっていると、洗い場から浴槽に入ったときバランスを崩してしまう場合があります。


手すりを設置して、手すりにつかまって体勢を保つこともできますが、手すりは取りつける場所が限られています。


浴槽の底にイスやスノコを置いて段差を軽減する方法もありますが、湯の中では固定されていない物はグラつく可能性があります。


浴槽の底と洗い場との高さの差に介護用品で対応できない場合は、浴槽の交換や浴室のリフォームを考えてみてくださいね。



車椅子だけではなく、杖や歩行器を利用するようになったとき、これまで問題なく過ごしていた家でも動きにくさや転倒の危険性を感じることがあります。


車椅子を利用したり介護の手が必要になったりしたときをイメージして、家の中で障害となりそうな部分があるかどうかチェックをしてみてください。


バリアフリーリフォームを行ったほうがいい場所がわかっていれば、設備の交換や住宅の修繕をするタイミングで同時にバリアフリーリフォームを行うことができます。


いざというときに慌てないように、できることから準備を整えていきましょう。

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